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2012
06.19

筒描染 大漁旗 地細工紺屋若松旗店

文政5(1822)創業地細工紺屋若松旗店(現五代目若松智氏:八幡浜市浜之町)が、江戸時代から続く「筒描染」の技法で大漁旗を作られたので紹介します。この技法を使った染物は、「筒描染製品」として愛媛県伝統的特産品に指定(24.3)されています。

 

[ 作業工程 ]

下絵紅で下書き。書いた線は水に濡れると消える。

大漁旗01  大漁旗02
 

筒描き(糊置き)。柿渋を塗った和紙で作った筒に、もち粉で作った糊を入れて下書きに沿って絞り出す。長い経験からの指先の力加減が必要。

大漁旗03  大漁旗04  
 

糊を置いた部分は染色されないため白色で残る。 糊が乾く前に米糠をかける。

大漁旗05  大漁旗06 
 

糊を布の裏まで通らせるため布の裏に裏水(ふのり等を溶かした液)を引く。

大漁旗07  大漁旗08
   

乾燥。

大漁旗09  大漁旗10  
 

染色。染料は乾くと色が変わるので染料の調合に長い経験が必要。

大漁旗11  大漁旗12
 
  色のグラデーション。長年の経験で色の染み具合を見極める。

大漁旗13  大漁旗14 
   

微妙な色の変化を一筆一筆丁寧に描いて行く。

大漁旗15 大漁旗16 
大漁旗17  大漁旗18

  乾燥。

大漁旗19  大漁旗20
 
  色止め(定着剤)を塗る。

大漁旗21  大漁旗22 

 
  水洗いして糠と糊を落とす。

大漁旗23  大漁旗24
 
  乾燥。

大漁旗25  大漁旗26 

   隅取り。火鉢で温めながら紅柄や油煙を慎重に塗っていく。

大漁旗27  大漁旗28
 
  縫製。希望によりフレンジ(縁飾り)を縫い付ける。

大漁旗29  大漁旗30
    
  レザーを縫いつけ、ロープを通すハトメを木槌で打ち付ける。

大漁旗31  大漁旗32 
  
  完成。

大漁旗33  大漁旗34
 
 細かな染色。濃淡を細かく付けているため立体感が感じられる。

大漁旗35  大漁旗36
 

白色の染料はないため、経験に基づく高度な技術で立体感を表す。

大漁旗37  大漁旗38
 
 微妙に色を変化させる高い技術。「わらびのし」の印し。ひらがなの「の」と「し」

大漁旗39  大漁旗40
 
 船の進水式(この辺では「船降ろし」という)が行われた。

大漁旗41  大漁旗42 

 颯爽と走る新造船。たなびく大漁旗。

大漁旗43  大漁旗44 
  
 大漁旗は進水式に華を添える。

大漁旗45
  
 このフライ旗(注:この辺では、大漁旗のことをフライ旗(キ)という。英語の「フラッグ」からフライキになった説がある。)は、伊方町にある宇和海マリン(代表 隅田高幸)さんが漁船を新造し、船降ろし(進水式のこと)を行う時に関係者が贈ったものである。

大漁旗は、八幡浜市内で江戸時代から続く「地細工紺屋若松旗店」が昔からの技法の「筒描染」の手法で制作したもので、若松旗店によると、「昔は、新造船が多く船降ろしはどこでもよく行われ、大漁旗はお祝いとして船主に贈られた。そのため旗には『のし』の印しが入るもので、今回の旗は『わらびのし』という印しで、ひらがなで『のし』と続けて書くと『蕨』の形になることからわらびを形どった印しである。大漁旗は、元々通信手段がない時代に漁船が漁を終えて港に入る時に、旗の数や掲げる位置で『漁獲量』を示し、浜ではそれを見て魚を入れる箱や作業員等を用意したものであるが、現在は無線機や携帯電話が普及してその役割はなくなった。昔は大漁旗の注文がたくさんあったが、最近は漁業の衰退等で新造船が少なくなり注文も少ない。」とのことであった。

船降ろしにいた人に聞いても、「最近は漁業を廃業する人が多くて新造船はほとんどなく、船降ろしが行われるのは久し振りである。」とのことであった。

漁船が大漁旗を揚げて走る姿はいつ見ても素晴らしいものである。今後、漁業が盛んになって港の活気を取り戻し多くの漁船が大漁旗を揚げて海面を走り回る日が来ることを楽しみにしたい。

 

by 「ひとりしずか」でした。




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