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2014
03.23

祝旗「だるま」 宇和島運輸新造船 筒描染 地細工紺屋若松旗店

Category: その他

愛媛県八幡浜市と大分県別府市・臼杵市の間をフェリーを運航している宇和島運輸㈱は、新しいフェリー「あかつき丸」を新たに造船し、216日に進水式が行なわれ今年64日から就航することにしています。

就航に先立ち、61()午前10時から正午の間に一般公開が八幡浜港のフェリー乗り場付近で行われる予定とのことでぜひ素敵な船内を見に来てください。(噂では先着?名に記念品があるとか・・・)

この船は、全長約116.5m、幅16.0m、総トン数約2,565トンで、新造船に合わせ関係会社から縁起のよい「だるま」の祝旗(いわいばた)が送られました。

だるま01 
 祝旗は、八幡浜市浜之町で文政5(1822)創業の地細工紺屋若松旗店の五代目 若松 智 さんが、江戸時代から続く「筒描染」の技法を用いて作りました。

この「筒描染」は、日本独自に確立された染物技術で友禅とほぼ同じ工程の作業を一人で行い、現在では、全国でも行える職人が数少なくなっており、創業当時から続く技法を守り続けて、愛媛県伝統工芸士に認定されています。

 

【作業工程】

    ()をする(布地の伸び戻し)

布を水に浸け込み乾燥させて布の伸びを戻す。
だるま02
 

    下絵出し

桐の木で作った炭で下書きし下絵液で描く。描くのは、白く残したい部分や染色液が隣接する他色の部分に染み出さないよう染色の前に色の境に糊を置く必要があるため、配色を考えながら描いて行く。下絵液は水に濡れると消える性質があるので糊置き後、布の裏に水を引く(裏水引き)と消える。
だるま03 
    筒描き

もち米を粉にして作った糊を和紙に柿渋を塗ってロート状に作った糊筒に入れて下書に沿って糊を置く。この糊を置く作業が創業の江戸時代から続く「筒描き」の技法である。線の幅によって筒先の大小の口金を使い分ける。糊を同じ幅、同じ厚さの均等に絞り出すことや真っ直ぐやきれいな円に描くことに長年の経験と努力で培った技術がないと出来ない。
だるま04 だるま05
    米糠かけ

糊が乾くまでに大鍋でよく炒って油抜きして漉した米糠をかけて糊部分を覆うように貼り付かせ箒で余分な米糠を掃い落とす。
だるま06 だるま07
    裏水引き

布の表に置いた糊を裏側まで浸透させるため、布の裏側に刷毛で水を引く。このとき下絵は消える。
だるま08 
    染色

昔ながらの染料を調合して色を作って塗る。乾燥すると色が変化するので乾燥後を考慮した調合が必要。白色の染料はなく立体感を表現するグラデーション技術に長年の経験が必要。
だるま09 だるま10
  赤色は昔ながらの2種類の染料を使い大鋸屑で水分を取る。大鋸屑を使うのは全国でも稀である。
だるま11 だるま12
  普通ダルマにはこのような波は描かないが、新造船なので特別にグラデーション技術を駆使した波を描く。
だるま13 だるま14  
    乾燥   乾くにつれて色が変化していく。 
 

だるま15
    色止め
色の定着剤を塗る。 

 だるま16
 

    水元(水洗い)

糊と糊に付いている米糠を洗って落とす。糠は色が付いているため他に色が移らないよう素早く落とす。糊はなかなか溶けないため一日かけて水の中に何回も浸けてブラシで洗い落とす。
だるま17 だるま18
     乾燥
   

だるま19
    隈取り(くまどり)
糊を置いた部分は白く残っているので、紅柄や油煙を柿渋で溶いて火鉢の上で乾かしながら塗って行く。実に細かな作業である。
だるま20 だるま21 
立て
だるま22 だるま23

    完成 

グラデーション技術が素晴らしい。左上はわらびの形をした「のし」の文字。「わらびのし」という。このように若松旗店は全て手作業である。ダルマの鉢巻の色は、要望によりフェリー会社の船の色に合わせた。
だるま24  だるま01

 

若松さんによると、「最近は多色の顔料があってそれを使うと作業は楽になるが、昔からの色数の少ない染料は作品の風合いもよく、日本古来の伝統を守り続けるためにも使い続けている。また、白色の染料はないため、白い部分をいかに立体的に表現するかが大変難しい。」とのことでした。

たしかに作品を見ると、べた塗りではなく細かなところまでグラデーション技術を使ってより立体的に表現されており、この技術の取得には長年の経験とより良いものを目指す努力がないとできないものです。

祝旗は、新郎新婦の名前を入れて結婚式に贈る人もいて、部屋に飾ると記念の思い出になりますね。詳しくは若松旗店にお問い合わせください。若松旗店はいつでも見学することが出来ますので作業を一度見てはいかがでしょうか。

連絡先 地細工紺屋 若松旗店

八幡浜市浜之町182-2 0894-24-0691

by 「ひとりしずか」 でした。


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