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2012
01.19

地細工紺屋若松旗店 筒描染 八幡浜市

Category: 観光・施設

 愛媛県八幡浜市で江戸末期の文政5年(1822)に創業(現在190年目)し、今でも創業時からの手法で染色から縫製まで行っている「地細工紺屋(じざいくこんや))若松旗店」を紹介します。

    店の全景         店の中

若松001  若松002
    作業場
 若松003   若松004
 この店は「筒描染(つつがきぞめ)」という手染めによる(のぼり)(五月幟、神社幟、辻幟)、神社紋幕(もんまく)、旗(大漁旗、校旗、応援旗)、祭礼衣装((はん)(てん)法被(はっぴ)、着物、油単(ゆたん))等を製作しており、現在、若松智(64)が5代目として家族3名で、創業時からの手法である糊置き作業で和紙に柿渋を塗って作った円錐型の筒で描く(筒描(つつがき)という京友禅や加賀友禅と同じ手法用いて染物を行っている

 この「筒描」と呼ばれる手間のかかる手法を行う者は全国でも少なくなっており、依頼者の意向を汲み上げ、デザインから染め縫製まで一貫して行う者は全国的に数える程度になっている。
 地細工紺屋」とは、江戸時代から明治時代にかけ農村漁村では木綿や麻布等で藍染めが行われ、藍染めは、専門職人の紺屋が仕入れ紺屋、無地染紺屋、型付紺屋、伴天紺屋、幟紺屋など分業で行っていたが、その中で、その土地に根付いて染付けから縫製、仕立てまで何でも細工できる紺屋を「地細工紺屋」と呼んでいる。

 戦前発行の「愛媛縣手染工業組合名簿」によると当時県内の会員は200名とあるが、近年、人口減、漁業衰退による漁船の減少及びプリント物の安価な印刷染色の普及等により手染めによる大漁旗や幟の注文が激減し、それまでの手染め業者は、後継者がなく老齢化とともに廃業が相次ぎ、現在、県内で手染めによる染物を行っているのは数人程度ではないかと思われる。

 このまま廃業者が続くと伝統的な手染め染色技法が途絶えると危惧されるなか、若松旗店では、時代が変化しながらも変わらずに続けてきた手染め染色という貴重な伝統文化を次代に繋げるべく、昔からの資料や道具を大切に保管するとともに江戸末期創業当時からの筒描手法による手染を続けている。

 また、作品は、兵庫県西宮神社の拝殿飾りに奉納されたり、国立歴史民族博物館(千葉県佐倉市)所蔵として納品したほか、最近は昔からの作品だけでなく、室内に飾れる五月幟のタペストリーを製作し、ギリシャ、カナダ、ベルギー、フランス、香港などの外国に贈られ喜ばれている。

  外国に贈られたタペストリー等  

    若松005     若松006

 

    若松007   若松008 

  西宮神社に奉納された旗(三枚) 西宮神社奉納旗

  若松009 若松010

  西宮神社奉納された旗    西宮神社の展示状況

  若松011  若松012

若松旗店の作業工程は次のとおり(着流し伴纏の場合(身丈140㎝) 

1 染め布調達・準備

 木綿の布を水(麻はお湯)に浸し脱水後室内で乾燥させる。

布の両端にケタを付けて張る。

 若松013  若松014

2 下絵出し

 下絵の上に布を置き下絵紅で本書き。又は、布に直接桐の炭で下書きを付け、下絵紅で本書き。桐の炭は掃えばすぐ落ちる。桐炭のほかに針を使うこともある。 
  若松015  若松016


3 糊つくり
 もち粉、型糠、石灰、塩、水を用意し、鍋にもち粉等を加減しながら入れて糊状に練りこむ。季節により塩の量を加減する。
若松017
 


4 糊置き
 
和紙に柿渋を塗って作ったロート状筒の下部に口金をセットし、糊を入れて、親指と人差し指で絞りながら下絵に沿って描く。口金は大小複数種類があるが微妙な線幅は筒の絞り出し加減で調整する。  

 若松018  若松019

5 米糠かけ

 米糠、大鍋、すいのう(ふるい)、ガスコンロを用意し、糊置き後、乾かないうちに大鍋で米糠をよく炒って油抜きし、すいのうで漉して冷ました米糠をかける。
 若松020  若松021

6 裏水引き

 水にロード油又はふのりを煮て溶かし漉して薄めて入れ、布裏から刷毛で薄く塗る。
 若松022 

7 
天日乾燥
 屋外に出して乾燥させる。天候及び季節で時間を調整する。


 若松023  

8 染色
 染料を小鉢にお湯で溶いて混色し色を作って刷毛で塗る。乾燥時を見通して彩色する。が布の乾き具合を見計らってぼかし技法も施す。
 若松024  若松025 
 

9 自然乾燥

 日光が直射当たらないところで自然乾燥させる。


10 糊伏せ
 色を挿した部分が地染めの色と混ざらないように影響がある部分を糊伏せをする。糊伏せ部分には色止め(定着剤(無色))を行う。
 
 若松026

11 地染め
 背景の染色を行う。染料を刷毛で塗る。渦模様を袖の生地と柄を合わすのが困難

 若松027  若松028    


12 自然乾燥

 日光が直射当たらないところで自然乾燥させる。

 若松029     


13 色止め
 定着剤を刷毛で塗る。

 若松030    

 

14 水元(水洗い)   
 水の中に何回も浸けて糊を落とす。染料が付いた糠が他の部分に色移りしないよう布を細かく動かして素早く落とす。糊のふやけ加減を見極めながら行う。最後の仕上げにブラシで落としきれない織り目の間に残った糊を金属のヘラ(お玉)で取り除く。

 若松031  


15 乾燥

 日光が直射当たらないところで自然乾燥させる。この時、布が伸びないよう注意してケタを止める。 (写真は12と同じ)

16 (くま)取り
 
糊部分は白いので乾かしながら刷毛で紅柄又は黒煙を塗る。火鉢、刷毛、紅柄(赤色)、油煙(黒色)を用意する。塗料は柿渋で溶くため色の定着は強い。

 若松032


17 裁断、縫製、仕立て

 布をハサミで裁断し、ミシンや手で縫製し製品に仕上げる。衣装は洗濯の縮みを考えて仕立てる。この作業は奥様の留美さんがされる。

 若松033  若松034


 2010年5月15~21日に松山市大街道の「えひめイズムイベントスペース」で「地細工紺屋若松旗店」イベントが開催され、「筒描」による糊付けから色付けまでの実演を行い好評を得た。

 若松035  若松036  
 
 2011年9月6~9日に東京ビックサイトで行われた「ギフトショー2011秋」で同時開催された「ニッポンいいもの再発見」に出品依頼があって展示し高い評価を得た。

 若松037  若松038  
   

 また、10月11~17日に松山市の松山三越1階アトリウムコーナーで開催されたえひめイズムフェアのステージへの展示依頼があり好評を得た。

 若松039  若松040 
 
 

このように八幡浜市には、江戸時代末期からの筒描染の伝統を絶やすまいと努力している人がいる。若松旗店では、きさくなご夫婦のはからいによりいつでも作業工程の見学ができる。

全て手作業で行っている作業を見ていると完成までにどれだけの手間と熟練の技術が必要かを知ることが出来る。若松さんは18歳から家業を継ぎ45年過ぎた今もより技術の向上を目指して日々努力している。作品が完成間近になっても納得いかなければ破棄して最初から作り直すなど製作に妥協を許さない厳しい姿勢で仕事に打ち込んでいる。まさに職人の技に終点はない。

また、地域の祭りや神事等に関して作成した昔からの資料を大切に保存して、地域の風習を守るとともに江戸末期創業当時からの筒描手法による伝統的手法による手染めを続けている。

この若松旗店の作品は、印刷による染色物と違って本当に一枚一枚手作りで世界にひとつしかないものである。

 5代目の智さんはより技術の向上を目指しており、奥様の留美さんの手仕事による縫製技術も若松旗店の作品には欠かせないもので、6代目となる息子の崇さんも父親の仕事を手伝いながら技術の取得に努力している。染色は、材料の色が限られているため混色して色を作る必要があるが、その調合を崇さんが行うなど父親と作業を分担しながら一生懸命伝統文化の継承に取り組んでいることは頼もしいかぎりである。

 なお、毎年1月10日に西宮神社で行われる「十日戎開門神事福男選び」がニュースで放映されるが、ゴール場面の後ろに若松旗店が西宮神社から依頼があって製作・奉納した戎さんの旗が映る。マグロの上にお賽銭が乗っている場面の後ろにも旗が映っている。西宮神社がニュースに出た時は気をつけて見てみよう。

 今回、若松夫妻にはお忙しいところ多くの時間をさいて染色について詳しく教えていただきました。染物の大変さを知るとともに友禅にも決してひけをとらないすばらしい技術であることがわかりました。特に白い染料がないため白い部分をいかに立体的に見せる技法が大変なことを聞き、改めて「筒描染」の奥の深さに驚かされました。この伝統文化を絶やさないよう努力されていることに感銘するとともに取材に当たり数多くの写真を提供していただき本当にありがとうございました。

このブログをご覧のかたは時間があればぜひお店を訪ねて伝統の技術に触れてみてはいかがでしょうか。

 

  若松旗店の代表的な作品

神社幟 

 若松041  

  辻幟(左右の文字に深い意味がある。)辻幟

 若松042  若松043   

     辻幟           辻幟

 若松044  若松045

     神社紋幕         神社紋幕
 若松046 若松047    

     五色幕         五月幟

 若松048  若松049  

      五月幟         五月幟

 若松050  若松051    
 国立歴史民族博物館 所蔵品   

 若松052

    武者幟           武者幟

   若松053     若松054

      武者幟         大漁旗 
   若松055   若松056 

     几帳(きちょう)           几帳(きちょう
)
 若松057  若松058    


    着流し袢纏       着流し袢纏
   
 
若松059  若松060 
 

 若松061  若松062

 若松063  若松064

 若松065  若松066
     日除け暖簾(のれん)         暖簾(のれん

) 若松067  若松068  
     暖簾(のれん)       旗 イタリア料理店 店内飾り
 
若松069  若松070 

 

  神楽(かぐら)大蛇(おろち) (筒描)      神楽衣装(筒描)
 若松071    若松072      


 祭礼衣装 唐獅子
(型染) 祭礼衣装 五つ鹿(型染)
 
 若松073  若松074   


   神楽衣装(型染)     神楽衣装(型染)
 若松075   若松076

  神楽衣装(型染)      神楽衣装(型染)
 
若松077   若松078   


 地細工紺屋若松旗店の連絡先は次のとおりです。
   愛媛県八幡浜市浜之町182-2
    TEL 0894-24-0691 FAX 同

 若松旗店は、いつでも作業を見学することができますが、日によって作業工程が異なるので、筒描きや染色作業を見たい場合は、事前に作業予定をお問い合わせください。

 
 by たかが旗という自分の愚かさ。職人のこだわり、技のすごさにあらためて職人の偉大さを知った 「ひとりしずか」 でした。

 

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コメント
祭りののぼりを作りたいのですが見積もりをお願いいたします
文字は写真とは変えて八幡神社で平成二十六年十月十五日
八幡自治会氏子中
サイズは縦が10m横が1.3m
縦の房が17ヶ所 横の房が5ヶ所
写真にあるような飾り房を2個(全長0.65cm)

別途
日の丸の旗 (ポールは12mあります)

https://box.yahoo.co.jp/guest/viewer?sid=box-l-oimftfx5jfjrpvutvlclxwih7u-1001&uniqid=4a26e9b1-3d75-45d3-a807-3f66982986ed
富永勝dot 2014.05.11 08:54 | 編集
日付を平成二十六年十月吉日に変更します。
富永勝dot 2014.05.11 10:11 | 編集
初めまして見積もりをお願いいたします。
名前 数 金額
のぼり旗 1枚
飾り房 2個
日の丸旗 1枚


祭りののぼりを作りたいのですが見積もりをお願いいたします
文字は下記URL内の写真とは変えて左ミツドモエの紋と八幡神社で表し
平成二十六年十月吉日
八幡自治会氏子中
サイズは縦が10m横が1.3m
縦の房が17ヶ所 横の房が5ヶ所
写真にあるような飾り房を2個(全長0.65cm)

別途
日の丸の旗 (ポールは12mあります)

https://box.yahoo.co.jp/guest/viewer?sid=box-l-oimftfx5jfjrpvutvlclxwih7u-1001&uniqid=4a26e9b1-3d75-45d3-a807-3f66982986ed
富永勝dot 2014.05.11 14:42 | 編集
 見積もりの依頼をいただきありがとうございます。
 当ブログを運営しております「愛媛県南予地方局八幡浜支局」では、見積もり等の受付はしておりません。
 それで、当ブログで見積もり依頼があったことを、地細工紺屋若松旗店にはお伝えしておりますので、直接ご連絡していただきますようお願いいたします。今回のご依頼で、ブログ内でお店の連絡先を掲載していなかったことを反省しており、訂正して連絡先を追加いたしました。
 つきましては、愛媛県の伝統工芸士に認定された「筒描染」の「地細工紺屋若松旗店」を今後ともごひいきにしていただきますようよろしくお願いします。参考に連絡先をお知らせします。
 
  地細工紺屋 若松旗店  代表 若松 智
    八幡浜市浜之町182-2
      TEL 0894-24-0691 FAX 同 
 
蜜柑ちゃんと鯵尾くんdot 2014.05.17 21:08 | 編集
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