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2012
11.17

型染め 地細工紺屋若松旗店 唐獅子衣装

文政5(1822)から愛媛県八幡浜市で染め物を行っている地細工紺屋若松旗店を訪ねると、五代目若松 智 さんが伊方町川之浜地区の神社関係者から頼まれた「唐獅子(からしし、獅子舞)」の衣装を作っていたので紹介します。

若松旗店さんについては、このブログで江戸時代から続く「筒描染(つつがきぞめ)」の技法を用いて作った「筒描染製品」が愛媛県伝統的特産品に指定されているので数々の作品を紹介していますが、今回は、「筒描染」ではなく、「型染め」の技法を用いた染物を紹介します。

ロウケツ染めをしたことがある方はわかると思いますが、ロウケツ染めでは染色したくない部分に蝋(ロウ)を染みこませて染料が布に染み込むのを防ぎます(これを防染という)。

糊で防染する染色技法は中国から伝わったと言われ、中国では水に溶けない大豆粉を使いますが、日本では日本独自のもち粉で作った水に溶ける糊が使われるようになりました。この日本独自の技法は友禅などに用いられており、糊を防染剤にした染色は「糊染め」と総称され、型紙を用いる「型染め」と筒糊で手描きする「筒描き」とに分けられます。

糊染めでは、白い布を染める場合に、染色しない部分(白色のまま残したい部分)に防染のために糊を置く(塗る)必要があり、筒描きは、柿渋を塗った和紙で作った円錐形の糊筒に糊を入れ、手で筒を絞りながら筒先から糊を出して布に置いていきます。しかし、同じ模様をたくさん作る場合には、あらかじめ柿渋を塗った和紙に手で紋様を彫った型紙を作っておいて、布の上にその型紙を置いて彫ったところに糊を置いていきます。

 

○型紙作り(事前に作る。柿渋を塗った和紙に手で紋様を彫っていく。)

唐獅子01   唐獅子02 

○糊作り(季節等でもち粉、石灰、塩を分量調整)。 柿渋を塗った和紙で作った筒に糊を入れる。

唐獅子03   唐獅子04

○「筒描き」の場合。(糊を糊筒にいれて染色しない場所に糊を手描きするが今回は違う。)

唐獅子05  唐獅子06

○今回の「型染め」の場合。和紙をくりぬいて作った型紙に糊を置いて行く。

唐獅子07   唐獅子08  

型に糊を置いて型紙を除けると模様に合わせて糊が付いている。

唐獅子09   唐獅子10

米糠かけ。糊が乾かないうちによく炒った米糠をかける。余分な米糠はシュロの箒で払い落とす。

唐獅子11   唐獅子12

裏水引き。ふのりを煮て溶かした液を裏側に塗って糊を裏側まで浸透させる。  乾燥。

唐獅子13   唐獅子14

注文者持参の獅子の胴体(油単(ゆたん))の色に衣装の色を合わすため染料を調合する。染色後、乾燥や水洗いすれば色が変化するため、試し塗り、乾燥、水洗い、乾燥を繰り返して何度も染料の配分比率を変えてベストの色を作りだす必要がある。(微妙な色の違いにこだわる。)

唐獅子15   唐獅子16  
唐獅子17  唐獅子18

染料をお湯で溶かす。染色。米糠が付いた糊の上にも染料を塗るが染み込まない。

唐獅子19   唐獅子20 

乾燥。             色止め。色の定着剤を塗って乾燥させる。 

唐獅子21   唐獅子22

水洗い。布の米糠と糊を洗い落とす。1枚約6時間かかる。冬はもっとかかり水は冷たい。

唐獅子23    唐獅子24

乾燥。             裁断。奥様の留美さんが昔から伝わる仕立てを行う。

唐獅子25   唐獅子26

今回、携帯電話を入れるためのポケットの要望あり。縫製。奥さんも伝統を守っている。

唐獅子27   唐獅子28

完成。初めての人がはくと前後ろを反対にはく人が多い。昔からよく出来たもので腹回りの大小に対応できる伝統ある独特の造りである。

        唐獅子29  

参考に若松旗店が以前作った五つ鹿用の衣装。
唐獅子30   唐獅子31 
唐獅子32             唐獅子33 

  同店によると、五つ鹿は唐獅子と違ってランクが高く、衣装も「たっつけ袴」といって袴のように腰やモモ部分に折りがそして腰部分に腰板が入る。これに比べて唐獅子の衣装は「股引き」といってパッチのようなものとのことで、普段何気なく見ていると唐獅子も五つ鹿の衣装も同じ作りのように思っていましたが、ちゃんと昔からの伝統の作りに合わせて作り分けているとのことでした。

 

今回の注文は、唐獅子の頭(かしら)を買ったところ獅子の胴体(油単(ゆたん))と衣装がついてきたが、衣装の形が今までの衣装と違うたっつけ袴で色も濃い色であった。それで衣装を昔からの形で胴体の色に合わせて作ってほしいとのことでした。それで、色を合わすために苦労して何度も染料を調合しては水洗い・乾燥させて試してみてやっと合う色を作るとともに昔から伝わる形で縫製したとのことでした。

若松旗店では、各地の祭礼、神事、仏事など昔からの飾り物や習慣等を記録していて、世代が変わってしきたりがわからない人たちが相談に来られるとアドバイスをしている。今回の唐獅子の文様は、獅子の巻き毛と太陽の力強さを表した「毛卍文(けまんもん)」という文様です。この毛卍文の形も地域で違います。同店では各地の祭り衣装などの型紙を多数保存しており、修理や新調の時に先祖伝来の柄や文様を伝承している。ここにも若松旗店が、ただ注文に応じて染物を作るだけではなく、染物を通じて地元のお祭りをはじめ地域の伝統・郷土文化を大切に守り続けていることがわかります。

昔からの祭礼衣装やか家紋などわからないことがあれば若松旗店に聞いてみれば親切に教えてもらいますよ。

なお、愛媛県南予地域のお祭りは、宇和島藩伊達家の影響を受けた鹿踊り(五つ鹿)、牛鬼や唐獅子など独特の祭り文化があります。南予のお祭りにぜひ来て、見て、楽しんでください。

 

by 「ひとりしずか」 でした。




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