--
--.--

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2013
01.10

筒描染 五月幟タペストリー(豊臣秀吉) 地細工紺屋若松旗店

愛媛県八幡浜市浜之町で、文政5(1822)創業地細工紺屋若松旗店五代目 若松 智 さんが、江戸時代から続く「筒描染」の技法を用いて作った 五月幟タペストリー(豊臣秀吉) 紹介します。

通常五月幟は家の外に飾るため大変大きな物(長さ約10m、幅約1m)でした。 若松さんは、五月幟を部屋の中に飾ることが出来るタペストリー(長さ1.6m、幅0.7m)にすることで日本古来の伝統を守り続けています。

また、「筒描染」という創業当時から続く技法を守り続けており、この技法を使った染物は、「筒描染製品」として愛媛県伝統的特産品に指定されています。

【作業工程】

布を水に浸け込み乾燥させて布の伸びを戻した後、桐の木で作った炭で下書きし下絵液で描く。描くのは、白く残したい部分や染色液が隣接する他色の部分に染み出さないよう染色の前に色の境に糊を置く必要があるため、配色を考えながら描いて行く。下絵液は水に濡れると消える性質があるので糊置き後、布の裏に水を引く(裏水引き)と消える。

豊臣01 豊臣02 
豊臣03 豊臣04  

もち米を粉にして作った糊を和紙に柿渋を塗ってロート状に作った糊筒に入れて下書に沿って糊を置く。この糊を置く作業が創業の江戸時代から続く「筒描き」の技法である。線の幅によって筒先の大小の口金を使い分ける。糊を同じ幅、同じ厚さの均等に絞り出すことや真っ直ぐやきれいな円に描くことに長年の経験と努力で培った技術がないと出来ない。糊が乾くまでに米糠をかけて糊部分を覆うように貼り付かせ箒で余分な米糠を掃い落とす。実に細かい作業である。

豊臣05 豊臣06 
豊臣07 豊臣08  

大鍋でよく炒って油抜きして漉した米糠を使う。

豊臣09 豊臣10
 

裏水引き。布の表に置いた糊を裏側まで浸透させる。このとき下絵は消える。 天日乾燥。

豊臣11 豊臣12  

染色。昔ながらの染料を使用し調合して色を作る。乾燥すると色が変化するので乾燥後を考慮した調合が必要。
 豊臣13 豊臣14 
 

下引き。今回使う朱色は昔の貴重な染料を使うため二種類の染料液を塗る。

豊臣15 豊臣16  

この染料を使う場合は目の細かな大鋸屑(おがくず)をかけて水分を取る。大鋸屑を使うのは全国的に珍しい。

 豊臣17 豊臣18

上引き。二つ目の染料液を塗る。

豊臣19 豊臣20  

再度、大鋸屑(おがくず)をかけて水分を取る。全国で大鋸屑を使っているところは聞かない。

豊臣21 豊臣22  

グラデーション技術。薄くしたいところに水を引いてから染色する。

豊臣23 豊臣24  

水を引いた部分に刷毛で濃淡を付けていく。乾燥すれば色が変化するので長年の経験がないと出来ない。

豊臣25 豊臣26  

細かい部分も染色。

豊臣27 豊臣28  

立体感を表すために微妙な濃淡を付けて行く。白色部分に立体感を表現することは大変難しい。

豊臣29 豊臣30  

青色部分のグラデーション。水を引いた部分が薄くなる。

豊臣31 豊臣32  

地染め(背景の染色)。青色部分から緑色部分へのグラデーション。刷毛で色を馴染ませていく。乾くと色が大きく変化するので経験がいる。

豊臣33 豊臣34 
豊臣35 豊臣36  

                  乾燥。色が変化しているのがわかる。

豊臣37 豊臣38  

色止め。色の定着剤を塗る。

豊臣39 豊臣40  

細部は小さな刷毛で1コマずつ定着剤を塗っていく。

豊臣41 豊臣42  

水元(水洗い)。糊と糊に付いている米糠を洗って落とす。糠は色が付いているため他に色が移らないよう素早く落とす。糊はなかなか溶けないため一日かけて水の中に何回も浸けてブラシで洗い落とす。

豊臣43 豊臣44  
        
                    乾燥。

豊臣45 豊臣46  

隈取り(くまどり)。糊を置いた部分は白く残っているので、紅柄や油煙を柿渋で溶いて火鉢の上で乾かしながら塗って行く。

豊臣47 豊臣48  

奥さんの留美さんが縫製、仕立てる。

豊臣49 豊臣50   

完成。   床の間に飾った状態。この大きさなら部屋の中に飾れる。

        豊臣51          豊臣52  

アップ。立体感が出るよう細かなところまで考えて染色している。人物の顔の表情に一番気を使う。白馬の顔も迫力がある。人物、衣装、瓢箪、白馬、蹄、手綱、背景など細かなところ全てにおいてグラデーション技術を駆使した立体的な表現である。

豊臣53 豊臣54 
    豊臣55     豊臣56     豊臣57
    豊臣58  

 

若松さんによると、「最近は多色の顔料があってそれを使うと作業は楽になるが、昔からの色数の少ない染料は作品の風合いもよく、日本古来の伝統を守り続けるためにも使い続けている。また、白色の染料はないため、白馬など白い部分をいかに立体的に表現するかが大変難しい。」とのことでした。

たしかに作品を見ると、べた塗りではなく細かなところまでグラデーション技術を使ってより立体的に表現されており、この技術の取得には長年の経験とより良いものを目指す努力がないとできないものです。

なお、この作品は昨年末に東京で行われた「平成24年度全国伝統的工芸品公募展」に応募して入選になったもので、作品は、平成2514()15()まで、東京都港区赤坂の赤坂王子ビルの「伝統工芸青山スクエア」で展示されています。

若松さんの今後の活躍に期待します。

若松旗店はいつでも見学することが出来ますので作業を一度見てはいかがでしょうか。

連絡先

地細工紺屋 若松旗店

八幡浜市浜之町182-2 0894-24-0691

by 「ひとりしずか」 でした。

 


トラックバックURL
http://ehimekennanyohokubu.blog.fc2.com/tb.php/779-99848e83
トラックバック
コメント
管理者にだけ表示を許可する
 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。