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2013
03.14

筒描染 印袢纏 地細工紺屋若松旗店

愛媛県八幡浜市浜之町で、文政5(1822)創業の地細工紺屋若松旗店の五代目 若松 智 さんが、江戸時代から続く「筒描染」の技法を用いて作った「印袢纏(しるしばんてん)」を紹介します。

印袢纏とは、襟や背などに屋号家紋などを染め抜いた半纏(はんてん)で、主に職人商家着用する法被(はっぴ)のことです。時代劇を見ると背中に屋号等を染めた法被のような服を着ているのを見ると思います。

今回、砥部町で砥部焼の窯元「千山窯(せんざんがま)」を砥部焼観光センター炎の里(えんのさと)で築窯している㈱砥部焼千山から若松旗店に印袢纏の注文があったので作業を見せてもらいました。

 

【作業工程】

布を水に浸け込み乾燥させて布の伸びを戻した後、下絵を桐の木で作った炭で下書きし下絵液で描く。白色の染料はないため、文字など染色後に白く残したい部分に糊を置く必要がある。糊は粉にしたもち米から作り柿渋を塗った和紙をロート状にした糊筒に入れて下書に沿って糊を置く。この糊を置く作業が創業の江戸時代から続く「筒描き」の技法。線の幅によって筒先の大小の口金を使い分ける。糊を同じ幅、同じ厚さの均等に絞り出すことや真っ直ぐやきれいな円に描くことに長年の経験と努力で培った技術がないと出来ない。まるで筆で書いたようになるよう、とめ・はね・かすれ を描く。
印袢纏01 印袢纏02
印袢纏03 印袢纏04

 

糊が乾かないうちに大鍋で炒って油抜きし漉した米糠をかけて糊を覆う。余分な米糠は箒で掃う。
印袢纏05 印袢纏06
印袢纏07 印袢纏08

 

 砥部焼きのマーク。細かい作業。
印袢纏09 印袢纏10
印袢纏11 印袢纏12
印袢纏13 印袢纏14

 

 裏水引き。生地の裏側にふのりを溶かして作った液を塗り表側の糊を裏側まで浸透させる。こうすると糊部分には染料が染み込まない。下絵は水に濡れると消える。 その後乾燥。
印袢纏15 印袢纏16

 

染色。染料を刷毛で塗る。種類の少ない染料を調合して注文の色を作る必要がある。顔料は使用せず昔ながらの風合いを守るため染料を使用している。乾燥すると色が変化するので乾燥・水洗い後を考慮した染料の調合に長年の経験が必要である。
印袢纏17 印袢纏18
印袢纏19 印袢纏20

 

 色止め。定着剤を塗る。
印袢纏21 印袢纏22

 

水元。(水洗い)。糊と糊に付いている米糠を洗って落とす。糠を素早く落とす。糊はなかなか溶けないため一日かけて水の中に何回も浸けてブラシで洗い落とす。
印袢纏23 印袢纏24

 

乾燥。
印袢纏25 印袢纏26

 

襟から前の合わせにあたる部分を作る。筒描きで糊を置いて米糠をかけ裏水を引いて乾燥後染色。
印袢纏27 印袢纏28
印袢纏29 印袢纏30
印袢纏31 印袢纏32
印袢纏33 印袢纏34
印袢纏35 印袢纏36

 

色止めの液を塗った後、水に浸けて糊と米糠を洗い落とす。
印袢纏37 印袢纏38

 

乾燥。
印袢纏39 印袢纏40

 

これは青色の作業状況。
印袢纏41 印袢纏42 
印袢纏43 印袢纏44 

  

奥さんの留美さんが縫製されて完成。
印袢纏45 印袢纏46
印袢纏47 印袢纏48

 

 砥部焼千山窯は、絵の具に泥呉須、筆はつけたて、という戦後砥部焼がつくったオーソドックスなスタイルをとり、絵付けに砥部の特長を生かした作品づくりに努め、地元の原石を使用して手描きの量産の技術を守っています。ここで作られた食器は、㈱再春館製薬所の社員食堂や関連病院の食器に採用されたほか、ニューヨークなど海外で展示会・販売が行なわれるなどこれからも飛躍が期待されています。

若松旗店では、最近は多色の顔料があってそれを使うと作業は楽になるそうですが、昔からの色数の少ない染料は作品の風合いも良いので昔ながらの染料を使い続け日本古来の伝統を守り続けています。この創業当時から続く「筒描染」という技法の染物は「筒描染製品」として「愛媛県伝統的特産品」に指定されており、砥部焼も「愛媛県伝統的特産品」に指定されています。

この印袢纏は、砥部町の国道33号沿いにある「砥部焼観光センター『炎の里』」や砥部焼のイベントなどで着られます。この袢纏を見かけたら、砥部焼きはもちろんですがこの袢纏も見てください。これを見ると最近流行のスクリーン印刷で作ったものと比べ肌触り、風合いが全然違って本物の良さが理解できると思います。

若松旗店はいつでも見学することが出来ますのでぜひ作業を見てはいかがでしょうか。

連絡先  地細工紺屋 若松旗店  八幡浜市浜之町182-2 0894-24-0691

 

by 「ひとりしずか」 でした。



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