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2013
12.02

筒描染 節句座敷飾り 地細工紺屋若松旗店

愛媛県八幡浜市浜之町で、文政5(1822)創業の地細工紺屋若松旗店の五代目 若松 智 さんが、江戸時代から続く「筒描染」の技法を用いて作った「節句座敷飾り(豊臣秀吉)」を紹介します。
 通常五月幟は家の外に飾るため大変大きな物(長さ約10m、幅約1m)でした。 若松さんは、五月幟を部屋の中に飾ることが出来る座敷飾り(長さ2.1m、幅0.8m)にして筒描染を現代の生活の中に取り入れることで日本古来の伝統を守り続けています。

また、若松さんは、日本独自に確立されて現在では全国でも行える職人が数少なくなった「筒描染」という創業当時から続く技法を守り続けており、「えひめ伝統工芸士」に認定されています

    完成品

   節句座敷飾り01

 

【作業工程】

   下絵出し

布を水に浸け込み乾燥させて布の伸びを戻した後、桐の木で作った炭で下書きし下絵液で描く。描くのは、白く残したい部分や染色液が隣接する他色の部分に染み出さないよう染色の前に色の境に糊を置く必要があるため、配色を考えながら描いて行く。下絵液は水に濡れると消える性質があるので糊置き後、布の裏に水を引く(裏水引き)と消える。

   筒描き

もち米を粉にして作った糊を和紙に柿渋を塗ってロート状に作った糊筒に入れて下書に沿って糊を置く。この糊を置く作業が創業の江戸時代から続く「筒描き」の技法である。線の幅によって筒先の大小の口金を使い分ける。糊を同じ幅、同じ厚さの均等に絞り出すことや真っ直ぐやきれいな円に描くことに長年の経験と努力で培った技術がないと出来ない。下絵は水に濡れると消える。

 

 節句座敷飾り02 節句座敷飾り03

   米糠かけ

糊が乾くまでに大鍋でよく炒って油抜きして漉した米糠をかけて糊部分を覆うように貼り付かせ箒で余分な米糠を掃い落とす。

 

 節句座敷飾り04 節句座敷飾り05

   裏水引き

布の表に置いた糊を裏側まで浸透させるため、布の裏側に刷毛で水を引く。このとき下絵は消える。

 

 節句座敷飾り06 節句座敷飾り07

   染色

昔ながらの染料を調合して色を作って塗る。乾燥すると色が変化するので乾燥後を考慮した調合が必要。色を薄くしたいところに水を引いてから染色し次第に色を変化させる高度なグラデーション技術を有する。

 

 節句座敷飾り08 節句座敷飾り10 

 白色の染料はないので白馬の立体感を表すためグレーで微妙な濃淡を付けて立体感を表現する。これには長い経験からの高い技術が必要である。白色部分に立体感を表現することは大変難しい。

 

 節句座敷飾り11 節句座敷飾り12
   節句座敷飾り13     節句座敷飾り14

⑥乾燥
  乾くにつれて色が変化していく。
節句座敷飾り15 節句座敷飾り16

 

   色止め

色の定着剤を塗る。
   節句座敷飾り17     節句座敷飾り18

  

  水元(水洗い)

糊と糊に付いている米糠を洗って落とす。糠は色が付いているため他に色が移らないよう何度も水を替えながら素早く落とす。糊はなかなか溶けないため一日かけて水の中に何回も浸けてブラシで洗い落とす。
節句座敷飾り19 節句座敷飾り20

 

    乾燥

 節句座敷飾り21

   隈取り(くまどり)

糊を置いた部分は白く残っているので、紅柄や油煙を柿渋で溶いて二人がかりで火鉢の上で布をピンと張り細部まで丁寧に描いていく。
   節句座敷飾り22    節句座敷飾り23
  

   仕立て後、完成。
節句座敷飾り24 

 

大きな節句幟は屋外に飾るが、長い幟竿や竿を立てる基礎等が必要でなかなか屋外で建てることはできない。また、屋外は、雨や風の荒天時には取り込む手間が必要である。

屋外の例(長さ約10m、幅0.9m)
節句座敷飾り25    節句座敷飾り26

 

室内で飾れるよう希望によりタペストリーの大きさで作ることが出来ます。

タペストリーの例(長さ1.6m、幅0.7m)

    節句座敷飾り27

若松さんによると、「最近は多色の顔料があってそれを使うと作業は楽になるが、昔からの色数の少ない染料は、日本伝統の色合いを表わし趣(おもむき)のある佇(たたず)まいを表現することができ、日本古来の伝統を守り続けるためにも使い続けている。また、白色の染料はないため、白馬など白い部分をいかに立体的に表現するかが大変難しい。」とのことでした。

たしかに作品を見ると、べた塗りではなく細かなところまでグラデーション技術を使ってより立体的に表現されており、この技術の取得には長年の経験とより良いものを目指す努力がないとできないものです。

現在の印刷技術で機械製造された大量生産のものと、ひとつひとつ丁寧に手作りして同じものがない一点物とを見比べるとあきらかに違いがわかります。

若松旗店はいつでも見学することが出来ますので作業風景を一度見てはいかがでしょうか。

連絡先

地細工紺屋 若松旗店

八幡浜市浜之町182-2 0894-24-0691

 

by 「ひとりしずか」 でした。

 

 



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